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静岡・函南町にある「蛇ケ橋」。これといった特徴はない橋ですが、巳年の2025年、名前の由来を調べてみると、源頼朝のピンチを救うべく現れた大蛇の伝説にたどり着きました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ富士山が見える縁起の良さそうな橋
向かったのは三島と伊豆をつなぐ国道136号線。函南町の来光川にかかる橋、その名も蛇ケ橋(じゃがはし)は、富士山も見える絶景スポットです。
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川の名前「来光川(らいこうがわ)」と相まって、なんとも縁起の良さそうな橋です。
にむらあつとリポーター:
ヘビと言えば金運や幸福の象徴。来光川にかかる蛇ケ橋から見える富士山。パワースポットに間違いないでしょう!
なぜ名前に「蛇」がついたのか由来を調査します。
装飾のないシンプルな橋
橋ができたのは昭和54年。約45年前にできたことがわかります。
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橋を歩いてみても、ヘビに関連する装飾は一切ありません。名前の由来のヒントになりそうなものや、歴史の説明書きなども見当たりません。
伝説がありそうな名前ですが、のどかな風景が広がるのみ。謎は深まるばかりですが、橋を進むと大きな像が見えてきました。
巨大な“菩薩像”現る
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橋を渡った先に現れた大きな菩薩像。近くの石材会社の敷地にありますが、蛇ケ橋との関係はあるのでしょうか。
大正5年創業の「駿東石材」。社員の駿藤諒さんにお話を聞きました。
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駿東石材・駿藤諒さん:
狩野川台風で亡くなった方々や動物たちへの供養の意味もありますし、交通量が多い場所なので、交通安全を祈願して建てられました
また、周辺にはお店がたくさんあったようです。蛇ケ橋の横には、自動車のジャガーの販売店も昔はあったとのこと。
蛇ケ橋(じゃがはし)の隣にジャガーが。ダジャレのような場所でした。
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源頼朝を救った大蛇の言い伝え
真相を探るため、さらに聞いてみます。
駿東石材・駿藤諒さん:
源頼朝が洪水で橋を渡れないときに大蛇が現れ橋となって、頼朝が渡ることができたという言い伝えがあるようです
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1159年、平治の乱で敗北した源氏。頼朝は平清盛の継母・池禅尼(いけのぜんに)の命乞いにより生き延び、14歳で配流、つまり島流しにあったのが、現在の伊豆の国市蛭ヶ島。
20年間もこの地で生活していたと言われています。
どうやらその時の逸話が蛇ケ橋の名前の由来になっているようです。さらなる情報をもとめて向かったのは函南町立図書館です。
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三島市郷土資料館が発行した「源頼朝と伊豆 -史跡と伝承-」に詳しい記述を見つけました。
「頼朝が三嶋大社へ百日祈願に通っていたある夜、現在の函南町間宮付近で大雨によって橋が流され蛭ヶ島へ帰れなくなった。途方に暮れていると一本の丸太が流れ着き、念仏を唱えながら渡ったのち振り返ると、丸太は大蛇となって川を流れていったという伝説に由来する橋」(源頼朝と伊豆 -史跡と伝承-)
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石材会社の駿藤さんの言う通り、源頼朝が橋を渡れずに困っていると、大蛇が橋となって助けたという伝説に由来していました。
源氏の再興を祈り、三嶋大社まで100日参りを続けていた頼朝。妻・北条政子と出会い、34歳で旗揚げ。鎌倉幕府の征夷大将軍まで上り詰めました。
伊豆の国市四日町の蛭ヶ島公園には、富士山を望む源頼朝と北条政子の像があります。
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頼朝公ゆかりの地にある蛇の名がついた蛇ケ橋。頼朝公を救った大蛇に由来する橋は、まさにパワースポットなのかもしれません。
■スポット名 蛇ケ橋
■住所 静岡県函南町肥田373
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